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2009/09/10

Machine⊆Reverse-gender Machine⊇Reverse-gender / tarolabo

Machine

Genre:BASS(NOISE)
Title:
Machine⊆Reverse-gender Machine⊇Reverse-gender
Artist:
tarolabo
Difficulty:5key☆5 ☆9

 
強豪ひしめく 2009年上半期BMSベスト10 を “parry” で制したtarolaboさん。
その待望の最新作が満を持して登場です!(とか言いつつ既にリリースから1ヶ月近く経ってますが)
 
  ※ 記事中ではネタバレへの配慮は一切していませんのご注意下さい。

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私はわかりやすい曲が好きです。
それこそJ-POPのような、サビ一辺倒のワンパターンな定型曲のほうが安心感があって好きです。
だから抽象的で非現実的なエレクトロニカやノイズ系の音楽は、苦手なので基本的に避けているのですが、
そんな私でもBMSをやってると「難解なのにも関わらず凄い」と思える曲とごく稀に出逢うことがあります。
その一例がこの“Machine⊆Reverse-gender Machine⊇Reverse-gender”だったりするのです。

そもそもタイトルからしてぶっ飛んでいます。常軌を逸したイカレ具合です。
けれども語感や語形に独自色全開なので、鮮明に脳に焼き付くのも確かではあります。
曲名の中でもひときわ異彩を放つ「⊆」および「⊇」は部分集合を表す記号なので
タイトルは「Machine=Reverse-gender」という意味であると読み取ることができますが、解読はそこまで。
意図するものが掴みきれないまま、結局途方に暮れてしまいます。

同梱のreadmeによると本作品のテーマは「男の子の性的衝動」とのことですが、
正直に言って私にはどこが何を表現しているのかイマイチよくわかりません。
しかし不思議なことに、その理解不能な部分にこそtarolaboさんの真価というか、
他の作家では決して作り出せない、それどころか考えも付かないような世界観が樹立していると思うのです。
このBMSは、さながら「tarolaboワールド」という異文化への招待状のようなものなのです。

そんなわけで、私も自分なりの解釈・見解以上のものは何も書けないのですが、
この怪作の持つ悪魔的な魅力に少しでも迫れるよう、こうして筆をとった次第でございます。

Reversegender

さて、まずは楽曲の概要から検証しますが、この曲は前後半で大きく展開が変化しています。
前半は主にベース・ノイズ・多数の打楽器により、煩悩的で騒がしいカオスな心境が描かれます。
ところが後半は一転、神聖さと不気味さを併せた狂気を孕み、美しくも恐ろしい禁断の次元へと突入します。
tarolaboさんの過去作を眺める限り、こういう展開を好んでBMS制作しているような節がありますが、
本作はその総決算のような感じで、始めから終わりまで徹底した世界観が繰り広げられています。
 
解釈の幅が広いフリーダムな楽曲ですが、あくまで私見として述べますと、
この曲を楽しむ上でポイントとなるのは以下の4点だと思います。
 (1) 高音のノイズ
 (2) ドタバタしたリズム
 (3) 低音による欲望のモチーフ
 (4) 後半の綺麗系メロへの変貌
 
まず(1)は、曲の冒頭でも流れる「ピィィィーッ!!」というあの耳障りなノイズです。
冒頭のほか作中で何度か使われていますが、全て曲の場面転換のきっかけとして用いられています。
これはおそらく頭にビビビっと電撃が走るというか、刹那的な衝動が沸き起こることを象徴したノイズなので、
曲の主人公の心情の変化を理解する上で欠かせない音と言えるでしょう。
 
(2)のドタバタリズムは、「どどどどっ!ぽぽっぽぽっ!」など言葉では形容しがたい独特の打楽器群です。
興奮・錯乱・躁状態のような乱れた心を象徴していると考えられます。
後半部ではエコーがかかり、主人公の尋常ならない状態を暗示しているようです。
 
(3)は本作の(特に前半の)主題でもある、歪んだ低音によるメインメロディーです。
16分音符が2つずつ延々と連なる音形は、欲望の芽がうねうねと伸びてくる様子を連想させ、
テーマである「男の子の性的衝動」をストレートに示した禍々しさを感じさせます。
 
そして(4)は後半での曲の大展開です。それまでのパンク寸前の音楽が綺麗系へと突然急変します。
精神が蝕まれたのか、欲望が理性を飲み込んだのか、はたまた悟りを開いたのかはわかりませんが、
美しい音色を用い、冷めた凶暴性で表現された心情には、残酷なまでに異質な恐怖感を覚えることは確実です。
 
 
本作ではこれらの(1)~(4)が複合的に絡み合って、
ダークでおぞましい、邪悪かつ利己的な人間の欲望世界が忌憚なく表現されています。
BMS内外を問わず、あまり他に類を見ないタイプの楽曲なので評価は難しいですが、
エログロナンセンスな怪奇小説を彷彿させる独特の雰囲気に、
気づけば我を忘れて飲み込まれていることでしょう。



   ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆ 

 

そして楽曲に輪をかけて凄いのがBGA。創意工夫の粋を凝らした超意欲作です。
前半と後半のギャップがとんでもないことになってます。

Mrg_bga
前半はこの4人の愛らしい子供たちを、一つずつ交替に怪しい画像で塗りつぶしていきます。
背徳的というか非道徳的というか、イケナイ何かに徐々に覚醒するかのような悪趣味さが全開です。
後半ではアニメからリアルへと羽化。しかも色調反転でホラーの世界です。
途中、この女性の顔がアップになったりして(画像掲載は自重しました)
まるで内蔵を撫でられているかのような、グロテスクな恐怖体験をすることになります。
この前後半の落差が非常にえげつなくて、まさに悪夢的な演出と呼ぶにふさわしい作品です。
言うなればBGAの黒魔術。(物凄く良い意味で)変態BGAの極致です。

 

   ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆


 
この “Machine⊆Reverse-gender Machine⊇Reverse-gender” は典型といえるのですが、
tarolaboさんの発想力や感性は、BMS界でも群を抜いていると私は思います。
色々な音楽や映像を吸収し、それをアウトプットする脳内構造が圧倒的に精巧で緻密なのです。
そのため、時おり常人の思考の遙か先を行くBMSを発表し、賛否両論に苦しむこともあるようですが、
tarolaboさんの創作物には常にサプライズが含まれているので、私はいつもプレイするのが楽しみです。
“譜面落つMS” “aballava(?)” “甘雲” などの自由で奇抜な着想の作品を作る一方で、
トランス・ハードテクノ・ラウンジポップ・ジャズ・2STEPなど、様々なジャンルを手広くカバーする氏は、
まさに万能の天才、BMS界のダヴィンチと呼べる唯一の人物に違いありません。
 
 
 
 
  
DL:Lorelei looms
 http://www.fnbi.jp/tarolabo/index.html
    :b.i.n.(No.0615)
 http://bin.dot908.net/?mode=detail&no=0615


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もたもたしてたら日付が変わってしまいましたが、ズルして9/10付けで投稿。
BOFまで日がないことに今更ながら気づいたので(遅いよ!)、がんがん更新頑張りたいです。
 
それと、DTXのことについてはよく知らないので記事にはしませんが、
Crown DTXは超カッコイイ上に機能が洗練されたサイトだと感じました。
「楽曲タグ」は検索に便利ですし、「登録ユーザー」制で貴重なクリエイターを囲い込むのは
とても頭の良いシステムだと思います。
今後どういう発展を遂げるか期待大。応援してます。
 

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