starshore / warabi (BGA:雛鍔 葵)
Genre : fairytale
Title : starshore
Artist : warabi
Difficulty : 7key☆4
あの往年の名曲 “starshore” に、雛鍔 葵さん作の美しいBGAが付きました。
というわけで今回は、BGAにスポットライトを当てての旧作リバイバル紹介です。
※ 例によってネタバレ無配慮ですのでご注意下さい。
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◆ 原曲について
作者のwarabiさんはstereoberryさんの本名義です。
warabi(stereoberry)さんといえば、昨年の “ametsuchi” や “evangelize (blurry images)” などで
一躍界隈のトップに立ったクリエイターさんとして皆さんご存じのことと思いますが、
この “starshore” は、warabiさんがBMS界での認知度を大きく上げた最初のヒット作であります(たしか)。
出展は2005年の第二回BOF。[Salad&Electro]チームからの参戦でした。
獲得スコアは127人中43位とまずまずの結果でしたが、アベレージがなんと全体で9位という好成績。
これが評価されて翌年のBMS Starter Pack 2006に収録。各方面からの絶賛を得て今日に至っています。
本作は「fairytale」というジャンルから想像できるように、おとぎ話のような温かく柔らかい世界観が特徴で、
淡い音のプリズムが何層にも重なって、あたかも幻想的な音楽の銀河を形成しているかのような楽曲です。
このファンタジックな音空間の中に、輪郭のあるブレイクビーツがしっかりと足跡を刻みつけ、
耳にも心にも優しい、まさに「泣ける」そして「浸れる」音楽となっています。
上で述べた “evangelize (blurry images)” のご先祖様のような作品と言えるかもしれません。
私はwarabiさんを「感情を音に託して聴き手に届ける」のがBMS界で最も上手な人物と思っているのですが、
“starshore” は、そんな氏の良さが余すところなく発揮された傑作だと評価しています。
しかしながら、この作品には「BGAがない」という致命的な弱点がありました。
そのため、BMS史における超名作となるのにもう半歩届かないまま
新作・新曲リリースの波に飲まれ、歴史の中にフェードアウトしていくかとも思われました。
雛鍔 葵さんがBGAを制作し、本作に魂を込めなおしたのはそんな状況下のことでした。
◆ BGAについて
雛鍔 葵(ひなつば あおい)さんは2007年デビューの実力派BGA作家です。
昨年行われた事実上のBGA最強決定戦である「BGA BATTLE」にはglustarさんの “午後の喫茶” で参戦、
17人の参加者の中でポイント4位、アベレージではあのretuさんに次ぐ準優勝に輝くなど、
現在では名実ともにトップクラスのBGA制作者としての地位を確立し、
多くのBMS作家からラブコールを受ける存在です(たぶん)。
BGA作家というのは概して作風の広い方が多いですが、
例に漏れず雛鍔 葵さんも様々なタイプの映像を手がけています。
Hateさんの “diamond dust” のハイクオリティmpgムービーや、先述の “午後の喫茶” のクレイアニメなど
その表現手段・技法は多岐にわたり、圧倒的な引き出しの多さを感じさせます。
そんな雛鍔 葵さんの映像技術の中でも、私が驚嘆するほど凄いと思うのが
雪や星などの綺麗な瞬きや、霧もやのような淡い半透明の質感です。
前者は例えば “Winter Story / N.Hosizaki feat. MIKU / obj:Johnny” が、
後者は “In the Twilight Dark / glustar” などが代表格として挙げられますが、
この “starshore” では、私が思う雛鍔 葵さん二大表現技術が両方とも用いられていて、
まさに美への憧憬が形になったような素晴らしいBGAであると思います。
さて、今作のBGAは楽曲オリジナルの雰囲気や設定を最大限活かしたストーリー仕立てとなっています。
原曲は3分もある長尺BMS、しかもゆったりした曲調なため退屈感が生じやすいタイプの作品ですが、
ストーリーBGAという方式を採用することで、その難題へのソリューションを実現したわけです。
画像というフォーマットの特性上、実際にご覧頂いた方が早いので、
BGA中から何枚か無断で拝借してざっと全体像を見通してみます。(苦情が来たら消します)
(1) ここは宇宙のどこか、星の上の喫茶店。
今日もお客様で賑わっています。
(2) ところがある日、惑星が大接近。
お店ごと星が消滅してしまいます。
(3) 悲しみに沈む喫茶店のマスター。
「これからどうしようかしら…。」
(4) そんな時、宇宙の奇跡が。
輝きが集まり、新たな星が誕生します。
(5) こうして新しい星の上で
無事にお店を再開することができました。
(6) 足下の看板には
「リニューアルオープン」の文字が。
という感じで、宇宙の片隅を舞台とした、
「ほんの少し壮大なリニューアルオープン」(readmeより)の物語でした。
見終わった後に胸がほっとするような居心地の良さを、きっと皆さんも感じられたことでしょう。
まるで大人向けの絵本のような、行間の余韻を味わわせる優しいストーリーで、
ロマンチストな方には胸キュン注意報が発令すること間違いありません。
雛鍔 葵さんは、きっと一番綺麗な星の下で生まれた方なのでしょう。
こういうメルヘンな世界観が成立するのは、ストーリーの脚本自体に魅力があるのは当然ですが、
BGAの描き方や見せ方、曲との相性や同期性に拠るところが大きいと思います。
キラキラと瞬く無数の星々、あたかもフェザータッチのように淡い光のヴェール、
そして想像を膨らませる余地を残したシルエットの人物(?)など、
奥ゆかしく主張しすぎない絵柄が、warabiさん特有のふわふわした穏やかな楽曲とマッチして、
この上なく感動的な、安らぎと温もりがあって癒される作品へと昇華しています。
こればかりは文章や静止画では伝えることができないので、実際にプレイして見て頂くほかありません。
BGA差分の導入というのは確かに手間がかかりますが、それを補って余りある程の価値は保証できます。
必ず心の栄養になりますので、ぜひともダウンロードして、ご自身の瞳で動いているところをご覧下さい。
発表から4年の時を経て、再び脚光を浴びた “starshore”
もはや過去のものとなった作品を蘇らすことができるのは、BGA作家の特権と言えます。
新作にBGAが付くのも勿論嬉しいですが、たまにはこういうリバイバルものも感慨深いと思いました。
BGAには表立って注目や賞賛が集まることは少なく、制作しても張り合いがない分野かもしれませんが、
重要視している人は大勢いるはずなので、これからも頑張って欲しいです。
機会と記事のアイデアがあれば、私のブログでも積極的に取り上げるつもりでいます。
BMSと不可分の存在であるBGA。今後も変わらぬ発展を心から期待です。
DL:ルリイロギンガ (BMS)
http://salad.vivian.jp/
DL:the GOATS of GHOST (BGA)
http://klokken.fem.jp/book/
雛鍔さんの「the GOATS of GHOST」からは、本記事中で名前を挙げた様々なBGAもダウンロードできます。
特に “Winter Story / N.Hosizaki feat. MIKU / obj:Johnny” あたりは超オススメ。
ボーカロイド(初音ミク)BMSとしては “あにまら” と2トップを形成する作品だと思います。ご存じない方はマストプレイです。
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次回韓国スターターパックを特集する予定でしたが、
現在アーカイブ修正のためダウンロード不可となっているので、しばらく紹介は延期します。
なので明日からは、遅ればせながらmihoclapもBOFモード突入です!
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