2009年11月のBMSより
遅くなりましたが、先月リリースされたBMS(イベント出展作は除く)の中から
私のオススメ作品を何曲かご紹介します。
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この頃はめっきり寒くなって、BMSライフを送るには指が厳しい季節になってきましたが、
皆様はいかがお過ごしでしょう?
11月にリリースされたBMSは、傾向として非常に「尖った」作品が多かったように感じます。
どれもこれも万人向けというよりは一点集中型というか、むちゃくちゃクセが強くて人を選ぶ印象でした。
そんなわけで、どの作品をレコメしようか大変迷いましたが、
思案の末、Bセレさんが採り上げてないものを中心にお気に入りを紹介することにしました。
今月は3作品です。それではどうぞ。
◆ RUSTWATER / zio
Genre : DRUM'N'BASS
Title : RUSTWATER
Artist: zio
Difficulty: 5key☆6
11月の一押しはこちら。
作者のzioさんは情報が少なくて詳しくは不明です。
素直に取れば新人さんかもしれませんし、制作面でこなれているから誰かの偽名かもしれません。
いずれにせよ、良作なことには変わらないので深く追求はいたしません。でももし新人さんなら超有望すぎて嬉しいですね。
この曲はRUSTWATER(錆びた水)というタイトルのとおり、すさんだ印象を抱かせる楽曲となっています。
冒頭のパッドからぐぐっと全方位に空間が広がりますが、
そこは青空や自然が失われてしまった近未来のような、朽ちかけた退廃的な世界です。
さらに鉄杭のような存在感のあるドラムや、警告のように鳴り響く機械的なボイス音が交錯し、
シリアスで暗めの情景を繰り広げながら曲は幕を閉じていきます。
本作は音楽面もさることながら、譜面などのゲーム性にこだわりが感じられるのもポイントです。
スネアやキックなどが中心の譜面ながら、しっかりした打感と演奏感を味わわせてくれる様は
往年のビートマニアを彷彿させるようで、古参のファンなら歓喜で全身が震えることでしょう。
無論IIDXから入った人も、BAMANIシリーズ黄金期の息吹を本作で体感してくれればと思います。
なお、pupulyにてIdentity 7さんがBGAを制作・発表しています。
黒光りする不気味な立方体が蠢動する、妖しくも魅力的なmpgムービーです。
言うことなしの驚愕クオリティを誇っていますので、今からダウンロードされる方はそちらを強くお勧めします。
今日現在、インプレのレートは圧巻の5.0。誰もが認める力作です。
DL:b.i.n.(No.623)
http://bin.dot908.net/?mode=detail&no=0623
DL:pupuly(No.13) ※ BGA付につきこちらを推奨
http://nekokan.dyndns.info/~pupuly/bms/view.cgi?id=13
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◆ Fireball / tarolabo
Genre : IDM
Title : Fireball
Artist: tarolabo
Difficulty: 7key☆8 ☆11 ☆12
BMS界のダヴィンチことtarolaboさんの新作ですが、
「なんだこりゃ」と色々凄いことになっている作品です。曲も映像も譜面も。
出だしこそ背筋が凍るような不穏なフレーズが提示されますが、その後は「炸裂」の一言で、
息をのむ間もない高速BPMに乗り、様々な変則リズムが怒濤のごとく押し寄せてきます。
地雷原を裸足で駆け抜ける感じというか、眼前で銃撃戦が展開される感じというか、
あるいは音楽の土石流とでも言うのでしょうか、なんとも形容しがたい破壊的な猛攻です。
中盤以降、難解な譜面や嵐のような小節線が容赦なく降ってきてカオスさが増していき、
最後はあたかもブレーカーが飛んだように、いきなり強制終了して終わります。
リザルト画面で呆然と硬直すること請け合いです(笑
設計図に基づいた音楽なのか、あるいはインプロヴィゼーションなのかも判然としない感じですが、
破壊衝動や屈折感情が噴火して音となり、まるで火の玉のごとく過ぎ去っていくような印象の本作は、
近年のBMSではまず見られないタイプで、個性と意欲みなぎる作品となっています。
好き・嫌いは確実に二分する曲ですが、ぜひ一度は実際に触れてみて欲しい楽曲です。
スタンダードな4つ打ち曲で動脈硬化しつつある頭に、稲妻が走ることは間違いありませんから。
09年のtarolaboさんは、当サイトで上半期ベストBMSに輝いた “parry” や、
超発想曲の “Machine⊆Reverse-gender Machine⊇Reverse-gender” など
先進的でエッジィな作品が多かった(というかオンリーだった)ように思います。
持ち前の斬新なセンスと感性を武器に、来年はどんなBMSを披露してくれるのでしょうか。
年齢的にも脂がのって円熟味が出てくる頃ですので、今後とも大いに期待しましょう。
DL:pupuly(No.11)
http://nekokan.dyndns.info/~pupuly/bms/view.cgi?id=11
DL:Lorelei looms
http://www.fnbi.jp/tarolabo/
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◆ relife, suicide, groundrainbow / bugs (Ryo Ohnuki + Yu Ohnuki)
Genre : perish
Title : relife, suicide, groundrainbow
Artist: bugs (Ryo Ohnuki + Yu Ohnuki)
Difficulty: 7key☆7
タイトルを見れば明らかですが、この作品は07年開催のB.J.cup 8th stageアベレージ優勝作、
“hurt, scenery, groundrainbow / syatten + coda” のリミックスBMSとなります。
もともとはBMS同窓会への出展が予定されていた作品のようです。
原曲 “hurt, scenery,~” は浅野いにおの漫画「虹ヶ原ホログラフ」をテーマにしたもので、
曲中通して繰り返される主題を軸に、大胆な展開や美麗BGAで鮮やかに世界観を表現しきった、
07年の代表作の一つと誉れ高い名作です。(現在も入手可能なので、知らない方はぜひ一度)
“hurt, scenery,~”は私も本当に大好きなBMSで、当時そのあまりの素晴らしさに魅了され、
即日ブックオフに駆け込んで「虹ヶ原~」を買い求めたほどです。懐かしい思い出。
しかしこの漫画は難解極まりなかったです…読解力に自信のある方は読んでみて下さい…。
さて本作ですが、リミックス的には割とスタンダードで、構成などもよく似通った曲となっています。
ただ原曲が7/8拍子なのに対し、本作は4/4に書き換えられているところは大きな特徴と言えそうです。
曲は開幕から地鳴りのような低音が鳴り響き、次いであのメインフレーズが重ねられていきます。
しかし幻想的で味わい深い美しさの原曲に対し、こちらはあたかも地下深くに眠る聖域のような風格で、
重厚さと荘厳さ、そして畏敬の念を感じるような曲調に仕上がっているのが印象的です。
後半ではノイズが混じり、七色に輝く主旋律をそっと影で覆うような演出を見せ、
そのまま空間中に静かに溶け込み、曲は厳かに終わりを迎えていきます。
原曲と好対照の展開をするので、聞き比べをするととても面白いです。
原作(虹ヶ原~)・原曲(hurt, scenery,~)・本作の三種の神器をセットで楽しみましょう。
ご存じの方も少なくないかと思いますが、作者のRyo Ohnukiさんはすでに故人となられています。
氏はかつてkou名義やcycle名義などで活動し、“crux” でB.J.cup 1stをアベレージ優勝するなど、
BMS界の隆盛期を支えてくれた、偉大で才能あふれる人気作家でした。
07年に現名義へ変更後は、エレクトロニカの旗手として数多くの名作を世に送り出しています。
なかでもBOF2008の “WORLD END” は、登録No.1ながら圧巻すぎるクオリティを持ち、
後発登録の作家を恐怖のどん底に陥れたことが、つい昨日のことのようにリアルに思い出されます。
それだけに夭折の報を聞いたときは、信じられない、信じたくないという思いでいっぱいでした。
本当に残念でなりません。
Ryo Ohnukiさん、天国でもその才覚と実力をもって、大勢の人を楽しませてあげて下さい。
今まで大変ありがとうございました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
DL:Diverse System (左サイドバー"mp3 / wallpaper"より)
http://www.diverse.jp/
原曲 “hurt, scenery, groundrainbow / syatten + coda”
DL:S-curve, planetoid.biz
http://www.planetoid.biz/
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ということで、3作品を紹介しました。やっと追いついたo(*^▽^*)o
今後は滞納せず、もっと早く書くように心がけます。
明日はフォルプラス展望の予定ですが、書くことが意外に少なくてどうしようかと困ってます…。
文章量が少なかったら察してあげてください。
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