“plugout4 PHASE-01” 公開
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"plugout4" PHASE-01が12月初頭に公開されました。
もともとは公式ページと追加BGAの完成を待って記事を書こうかと思っていたのですが、
一足先にPHASE-02の告知もされてしまったので、溜め込む前に年末総決算としてここで記事にします。
さて、"plugout4"は5鍵盤限定のBMSパッケージです。
現在のBMSシーンは本家同様に7鍵盤が主流ではありますが、
古参のクリエイター・プレイヤーの多くはかつて5鍵盤に傾倒し、その魅力に取り憑かれたものです。
beatmaniaの誕生から12年も経った今日では、「5鍵なんて…」と思う人も少なくないのかもしれませんが、
このパッケージは、5鍵盤とBEMANIを心から愛する男たちが情熱込めて作り上げた魂そのものです。
食わず嫌いなどせず、ぜひ実際に手に取り遊んでみて、その熱いこだわりを感じ取ってみてください。
なお、このパッケージのBGAはかなり特殊な格納方式が採用されていて、
(たぶん)LR2以外はごめんなさいという厳しい仕様となっています。
他プレイヤーを使用している方は、ご自身で定義変更と映像ファイルの移動を行う必要があります。
いまだにnazoに一途な私からするとちょっとムカッとくる感じなのですけど、
これも時代の流れなのでしょうね…(つд⊂)エーン
◆ 1分でわかるplugoutの歴史
plugoutとは、2003年に初めて公開されたBMSパッケージ(一斉公開)イベントです。
副題には「The Internet Rave」を掲げ、パッケージのもとに集う人々の姿をクラブに見立てています。
毎回一つの四字熟語をテーマとし、一本筋の通った作品群を発表するのが通例となっています。
plugout1は「明鏡止水」を標題に、軍人さん・少佐さん・fenさんらが中心となって制作されました。
crankyさんやIs-mさんら大物をゲストに迎えたplugout1は、完成度・存在感ともに無類の出来で、
今日のパッケージイベントの先駆けとして、後のBMSシーンに多大な影響力を及ぼしました。
楽曲の一部はいまもこちらからダウンロードできます。
第一回の成功で大いに期待されたplugout2は「森羅万象」をコンセプトに掲げ、
2004年頃の開催を目指して大々的に公募・宣伝が行われましたが、
いろいろあって(略)となり、そのままplugoutはBMSの歴史の闇に埋もれていくかと思われました。
しかし2008年、「疾風迅雷」の旗の下にplugout3が電撃的に復活、
180以上のBPM制限という難しいテーマながらも幅広い作品が集まって好評を博し、
一時は失墜したplugoutの権威や信頼を取り戻して、5鍵盤パッケージの最高峰として再び返り咲きました。
そして2009年冬、「千変万化」をテーマに、plugout4がここに幕を開けます―。
◆ PHASE-01 楽曲紹介と感想
PHASE-01の制作陣は非常に豪華なメンバーが揃いました。名前を見ただけで興奮必至です。
楽曲は☆1~☆9まで各一曲ずつ。全て異なるジャンルとなっています。
このように難易度のバランスを取れるのは、パッケージならではの優れた利点と言えるでしょう。
ジャンルにおいて注目は☆8 [FUNKY KOTA]。本家にあるのかは知りませんがかなり新しい音楽です。
制作スタッフの嗅覚とフットワークの軽さが感じられる、PHASE-01を象徴する楽曲になりそうです。
それではPHASE-01の珠玉の9曲を、一言ずつ簡単に紹介させて頂きます。
SSは5鍵スキンがdbのやつしかなかったのでこれで。
☆1 [ PIANO AMBIENT ] persephone / snowflake
ようこそプラグアウトの世界へ、と私たちを出迎えてくれるのがこちらの作品。
艶やかな弦と、色気あるウィスパーボイスが印象的なウィンター・アンビエンスです。
なお曲名はペルセフォネと読み、ギリシア神話の冥界の女王の名のことのようなので、
実は必ずしも冬の曲というわけではなかったりします。
☆2 [ DEEP HOUSE ] SPIRAL / Gotou Seiya
Gotou Seiyaさんは福島を拠点に活動している気鋭のDJ/クリエイターです。
外部招聘ということで、ともすれば内向きになりがちなBMS界にとって起爆剤としての活躍が期待されます。
本作はやさしくもエレガンスな響きが特徴で、奥行きと落ち着きを感じられる楽曲となっており、
スパイラルの名のごとく螺旋を描く階段譜面を越せたなら、あなたももう初心者卒業です。
☆3 [ ELECTRO DISCO ] CHAMELEONIC / FALL
表題のCHAMELEONIC(カメレオニック)は「カメレオンのような」という意味の形容詞で、
転じて「気の変わりやすい、無節操な」という意味で用いられます。
しかし脳が揺れるように熱い本作を前にしては、どんなカメレオニックな人でも一途に没頭間違いなし。
譜面にはBMSの腕前向上に必須な要素が盛り込まれ、中級者への階段として存在感を発揮しています。
BGAは結局全部は修正しなかったのですね…。
☆4 [ TECH DANCE ] enrai / void
BMS界のトランス王子voidさんの新境地は、まさかまさかの和風テクダンスという奇襲です。
前のめりな鋭い低音フレーズと無機質なシグナル音が導き出すのは、ミステリアスな雅楽の世界。
和の要素と日本語タイトルは、四字熟語をテーマに掲げてきたplugoutに相応しいセンスを見せつけます。
妖しげなジャポニズムを表現したIdentity 7さん渾身のBGAと共に骨の髄までお楽しみください。
☆5 [ HARD HOUSE ] The childrens of Halloween. / yujurie
ハロウィーンといえば「トリック・オア・トリート」、つまり「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」ですが、
今時の子どもたちにとってはむしろ「トリック・オア・ダンス」なのかもしれません。
熱気と臨場感あふれる一直線の展開と、白鍵中心の譜面はパッケージ随一の「五鍵らしさ」を誇ります。
セクシーなBGAに気を取られ、終盤で不用意なミスを繰り返さないようご用心。
☆6 [ DRUM'N'BASS ] EVERETT / Morrigan
約7年もの時を経て、大王MorriganさんのドラムンベースがBMS界に凱旋帰国しました。
水の波紋のように広がる美しい旋律と骨太ブレイクビーツが、聞く者を瞬く間に別天地へとトリップさせます。
全国のドラムンベースファンにとって聖典的な作品となるのはまず間違いありません。
極短ロングノートが特徴的な譜面ですが、ラス殺し警報がもれなく発令中ですので油断は禁物です。
☆7 [ HALFSTEP DRUM'N'BASS ] lumpectomy / LU
タイトルのlumpectomy(ラムペクトミー)は乳腺摘出手術の意味ですが、
plugoutファンならお分かりのように、plugout3のmastectomy(乳房切除手術)の続編に当たる曲です。
警報が鳴り渡る狂気の世界に、BPMを錯覚するような複雑なリズムトラックが激しく交錯します。
この世紀の大手術、オペの成否は悪玉ロングノートスクラッチを叩けるかに委ねられています。
☆8 [ FUNKY KOTA ] Senang Pesta! / Dj Alit from BALI
ジャンルのFUNKY KOTA(ファンキーコタ)は ちょうど流行しつつあるインドネシア由来のHOUSE/DANCEで、
ファンキーでアジアン、それでいてどこかダサいのが特徴のハイテンション・ミュージック(らしい)です。
曲名はインドネシア語で「スナン ペスタ」と読み、英語のhappy festaに相当します。
BGAのパンダと一緒に、密林の奥に広がるアゲアゲなおバカの祭典に足を踏み入れてはいかがでしょう?
☆9 [ BREAK CORE ] Quick Scamper Girl / Yamajet
PHASE-01のボス曲は、ミスターBMSことYamajetさんによる必殺高速トラックです。
はち切れんばかりのポップ成分とともに、氏のお家芸のソ フ ラ ン が豪快に炸裂し、
BMSならではの遊び心を存分に感じさせてくれる、愉快すぎて圧巻な作品となっています。
極度に細かい密集フレーズをいかに叩くかが攻略の鍵。人間の運指力の限界に挑戦です。
・ 以下感想。
私のお気に入りは、☆2 “SPIRAL” と☆3 “CHAMELEONIC” が双璧です。
☆2は試聴の時から惚れ込んでいた作品。スマートだし清涼感あるしで大好き。
☆3は初級BMSプレイヤー必携の楽典のよう。とても勉強になる譜面だと思います。
こと低難度譜面に関してはFALLさんがBMS界で一番美しいです。
その他でオススメを挙げていきますと、
☆4 “enrai” はとても素晴らしいと思います。私の趣味とは違いますけど、出来としてはパーフェクトかと。
☆9 “Quick Scamper Girl” は一番多くプレイしました。単純に楽しいです。もっとソフランしたいです。
BGAはplugout3までのBEMANI路線から離れ、実写風景中心の薄い感じの映像が多かった印象でしたが、
その中で☆8 “Senang Pesta!” は毒々しいまでの超インパクトで良かったです。
次点は☆4。単純な完成度ならこっちが上だと思います。鳥居以降の展開が素敵でした。
譜面は各所で難易度論議もあったようですが、☆1は私もちょっと厳しすぎると思いました。
4分音符のリズムから外れたノートが平然と出てくるので、初心者が普通に逃げそうな気がします。
逆に☆7~☆9の譜面はとても良い仕事をしていると思いました。
難しさのベクトルが全部違っていて面白いです。五鍵の果てなき表現力を感じました。
色々と思うところはあるのは事実ですが、
スクリーンショットを見比べれば明らかなように、☆が多いほど譜面の密度が増しているので、
相対的に難易度の区別はできていて、総合的には説得力ある良譜面揃いだと思います。
あとは偶然かもしれませんが、難度が高い曲ほどBPMが早いのが特徴的でした。
PHASE-02以降で低速の高難度曲があればいいなあ…。
◆ PHASE-02 予告
さて、早くもPHASE-02の告知がされています。以下は曲目一覧。
☆1 [DUBSTEP] Ancient / morigasigeru
☆2 [BREAKS] Scourglass / mao sawatari
☆3 [EXPERIMENTAL POP] alignment you you / copyyyy
☆4 [DIGI-ROCK] Blink-Mute-Silence / Hate+
☆5 [TECH HOUSE] FIREWORKS / KARAKURUM
☆6 [WORLD GROOVE] Hand to hand / nirr.
☆7 [EXPERIMENTAL TECHNO] BEPEN / i am robot
☆8 [PSYTEC] 3.14 / Luze
☆9 [NU SKOOL BREAKS] Ire / Rife
PHASE-01より渋いというかアングラというか、玄人色の強いラインナップだと思います。
個人的な注目は ☆3 “alignment you you”。youyouシリーズ最新作ということで期待しています。
あとHateさんの5keyというのがあまり想像がつかない感じなので楽しみです。
公開は1月1日元旦。チームplugoutからのビッグなお年玉です。
来年のBMSシーンは年明けと同時に始動だなんて、なんだか素敵な一年になりそうですね。
plugout4 PHASE-01
http://atsp.bms.ms/
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“BMS Festival 09' Winter”、お疲れ様でした。あまりインプレできなくてすみません。
期間延長されて完全に気がゆるみました。我ながら超だらしないですね…。
“フォルプラス” もお疲れ様でした。まだラジオのログは一つしか聞いてないので何とも言えませんが、
全部聞き(5時間半は長いよ!)、さらに総評が出てからまとめを書きたいと思います。来年になるかな?
なお、びむらじにはゲストとして私も出演したようなので(?)、暇な方はお聞き下さい。
えいかさんは次のびむらじ放送までmihoclap内で呼び捨てタメ口の刑に処します。異論はないよね、えいか?
2大イベントの終了に伴い、今年のベストインプレイヤーもほぼ大勢が決しました。
現在優勝者の特集を準備してますので、今から逆転のためbin大量爆撃とかは自重してくれると助かります。
“Groundbreaking” は凄いですね。圧巻でした。
BMS版のロングバージョンということで、原曲のコピペだらけにならないか危惧していたのですが、
見事に良い方向に裏切られました。ロングやリミックス制作が抜群に上手い作者さんがいて感動。
これは大々的に記事にしたい!という気持ちもやまやまなのですけど、
私にmp3を鑑賞するスキルが乏しいのと、現在タスクが山積みなのとでどうなるかわかりません…。
次回(明日?)はクリスマスBMS感想特集を書くと思います。まだ白紙ですが…。
mihoclapは年末年始も普通に更新する予定です。はやく仕事納めになぁれ。
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