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2010/05/26

初めだけ易しい / sa10

Easytostart_bn

[FUNKOT] 
初めだけ易しい  /  sa10

(from "Over Velocity Arrangement")

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DJMAXリミックス・アレンジイベント "Over Velocity Arrangement" 登録作。
スコア 3/11位(偏差値57.1)、アベレージ 3/11位(偏差値61.9)。sa10さんの自己最高順位獲得曲です。

BMSの楽曲は、初代beatmania以来の伝統もあるのか、基本的に英語の曲名が大多数を占めます。
そんな事情から、「日本語タイトル曲はただ存在するだけで目立つ」というのは必然ではあるのですが、
それにしたって目立ちすぎだろ!と "OVA" でひときわ異彩を放っていたのがこの “初めだけ易しい” です。

原曲はDJMAX Portable Clazziquai Edition収録曲 “처음만 힘들지(初めだけ難しい) / 015B” 。
こちらはチップチューンをジャンルにしながら、女性ボーカルやブレイクビーツをも組み込んだ意欲作です。

ご試聴いただければわかるとおり、諸要素が奇跡の取り合わせを果たした、とでも言うべき楽曲で、
心に勇気の泉が湧き、元気の陽が昇るような、安らぎと癒しのある澄んだサウンドを聞かせてくれます。
映像のピクミンみたいなぷちキャラの健気な姿を見ていると、「頑張ろう!」という気にさせられるものです。

“初めだけ難しい” という迷題の意味は、「何事を始めるにも、最初は困難が伴うものだ」というニュアンスで、
「初めはキツいけど終わりはチョロい」みたいな語では決してありません。
たいへん印象的な名曲でありますが、この邦題に関しては不適切な訳と断ぜざるを得ないでしょう。

しかし、それを恰好の題材として目を付けた人物がひとり。BMS界が誇る鬼才・sa10さんです。
翻訳の不手際をいいことに、原曲の真逆を行くリミックスとして徹底的に皮肉って再構築しました。
“初めだけ易しい” は “初めだけ難しい” のアンチテーゼであり、sa10さんからDJMAXへの挑戦状であるのです。

Easytostart_bms

「どんな曲調に仕上げるか」はリミックスの醍醐味ですが、sa10さんはまずタイトルに着目し、
“初めだけ易しい(難しい)” という語の意味不明さを、インドネシアの大衆音楽・ファンキーコタに投影しました。 
するとどうでしょう、原曲の持つ上品さはすっかり消え失せ、残ったのは頭空っぽのアジアの熱狂だけ。
原作者が聞いたら鼻血を出して卒倒しかねない、踊る起爆剤のような凶悪リミックスを作り上げました。

曲の冒頭は、原曲とほぼ同じBPMでメインフレーズが提示されます。
リミックスとして実に忠実な出だしですが、sa10さんの従順なリスペクト精神は早くもそこでガス欠。
ここからはオリジナルフレーズも入り交じっての、圧巻のファンキーコタ・ワールドの幕開けとなります。

イントロが終わると曲は急加速。主題がノリノリなアッパーフレーズに生まれ変わって場を沸かすと、
それに呼応して謎の声ネタ・音ネタがびゅんびゅん飛び交い、何だか分からないけど気分は高揚。
そのままテンションは高まり曲は最高潮に。マジキチとしか言いようのないハジケっぷりを爆発させます。

ところが一転、まるで炭酸ドリンクの泡が抜けたかのように中盤で曲が大失速し、
三味線の音色と共に、何の前振りもなくアジアの民族伝来の舞踏音楽へと豹変します。
まったくもって意味不明な展開でありますが、実はこれこそファンキーコタの定番構成の一つで、
曲中でBPMを落として大ネタを繰り広げることで、赤道直下の南国ならではの奔放さを存分に表現するものです。

終盤になると曲は再び勢いを取り戻し、クライマックスへと一直線に駆け上がります。
“初めだけ易しい”というだけあって、最後のほうは易しいどころか容赦ない鬼畜譜面となっていますが、
見事突破した腕利きのプレイヤーには、女の子からのキュートなご褒美の一言が待っています。
「ねっ、簡単でしょ?」
 ( ゚д゚)ポカーン
「…ああもちろん簡単さ」と答えるも、逆上してディスプレイを殴りつけるも、それは貴方の自由です。
 
 
原曲を清涼剤と例えるなら、このリミックスは興奮剤。それもかなりの強壮作用があります。
全体的に節操の欠片もないスットコドッコイな曲なので、中には受け付けない人もいるかと思いますが、
昨今のムーブメントとなっているジャンルだけに、この機会に押さえておいた方が良いのは確かでしょう。
インドネシアの名産果実ドリアンは「ニオイで敬遠するけど食べてみると美味しい!」とよく言いますが、
ファンキーコタもドリアンのように、聞き込んでみると無限の喜びが溢れてくる音楽なのかもしれませんね。
 
 
 
 
DL : ASDFL(^^)
http://sound.jp/lobsak/

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