disconnect / disconaut
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disconaut (murotani / 加賀崎聡) さんの新作BMSです。
イベントやレビューサイト等への登録は全くない、いわゆるノンタイアップ(?)の一般リリース作品ですが、
これは埋もれるにはあまりにも勿体ない、ぜひ多くの方に聴いていただきたい楽曲だと思ったので
「"無名戦"回顧」に先だって、ここでピックアップしてみたいと思います。
ジャンルはダブステップ。
ダブステップというと陰鬱で重々しい曇天の音楽のようなイメージもありますが、
本作は「ゆるふわダブステップ(本人談)」というとおり、女性ボーカルをフィーチャーしたスマートな楽曲です。
シンプルで聴きやすいトラックながら、それでいてダブステップ最大の特徴であるウネるベースも明確なので、
今までダブステップに興味がなかった人ほど聴いて欲しい、訴求力と間口の広さを兼ね備えた逸品と言えます。
標題であるディス・コネクトは、コネクト(接続する)の否定形で「断ち切る」という意味です。
恋人関係が断ち切られた別れの曲ともとれるし、二人の距離が断ち切られた遠恋の曲ともとれるでしょう。
いずれにせよ女性視点のラブソングで、切ない心情を歌に託して吐露するセンチな感傷に満ちています。
楽曲は4拍子ですが、冒頭では付点4分音符のシンセパッドが同時進行でビートを形成していて
緩やかな気流に背中を押されるかのように、自然と曲の世界へと手を引かれていきます。
また、出だしからボーカルも登場して惜しみなくリリックを紡ぎますが、その歌声は甘美の一言。
避暑地の爽やかな空気をどんなに吸い込んでも この瑞々しい清聴感は得られないでしょう。
ボーカルがひとしきり歌いきると、ここでダブステップ特有の歪んだベースが満を持して現れます。
その強力な低音旋律は、音的にも譜面的にも大胆かつ存在感抜群。
超極太の毛筆で一筆書きをするかのごとく、楽曲内を所狭しと縦横無尽に這いずり回り、
これぞダブステップと言わんばかりに、「ベースで踊る」醍醐味を余すところなく見せつけてくれます。
ベースの重圧から解放されると、再びボーカルが入って元の切ない雰囲気に戻りますが、
導入部と比べ音数が少なめな分、一言ひとことを大切に、精一杯の想いを込めて歌っているイメージです。
まるで甘美な芳香が辺り一面に広がって希釈され、ほのかな残り香を漂わせているように
溶けていくボーカルはしっとりとセクシーで、耳を傾けるにつれ、あたかも空間と共感している印象すら覚えます。
そのまま天上の気分に酔いしれたところで、曲はそっと幕を閉じていきます。
譜面でのポイントは、何と言っても中盤のダブステップベース。オブジェの叩き心地はまさに新感覚です。
難易度は7key☆8となっていますが、私がフルコンできるくらいなのでさほど難しくはありません。
歌と低音に聴き浸りながら、クールダウンのつもりでプレイすると至上の気持ちよさを得られるでしょう。
murotaniさんを語ろうとすると、どうしてもユニークな個性やキャラクターのほうに傾きがちですが、
インプレの発言等からも読み取れるとおり、実際はBMS界でもかなり音楽を聴いてる作家さんだと思います。
本作はそんなmurotaniさんが長年蓄積してきた音楽性・人間性の発露というべき傑作で、
アマガミで鍛えた彼氏力をもとに、そっと恋人の腰に手を回してエスコートする情景が浮かぶような恋歌です。
今年上半期でも指折りのラブソングBMS。夏のロマンティックな夜長のプレイにいかがでしょうか?
DL : murotaniarchives
http://www.qumarich.net/ (5月30日の記事、バナーからダウンロード)
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すみません、私用によりだいぶ更新間隔が空いてしまいました。
今さらな気もしますが無名戦お疲れ様でした。最終日には逆転劇なども見られて純粋に楽しかったです。
振休で明日(水)はお休みを貰ったので、大慌てで回顧を書くことにします…。
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