クリスマスBMS特集2010
今年リリースされたクリスマスBMS・クリスマス限定配布BMSなどの特集です。
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今年のクリスマスには数多くの作品リリースがありました。
クリスマスに合わせてpupulyに登録が殺到したのをはじめ、各地で期間限定BMSが公開されたり、
またwebアルバムが多数発表されたりと、両手いっぱいのBMSや音楽のプレゼントが寄せられました。
BMS界にはサンタクロースが沢山いるのだなぁと、子供心に戻ったような嬉しい気持ちになりますね。
そこで本記事では、入手しそこねた人への自慢を込めて、クリスマス限定公開BMSを特集してみます。
寒さで手がかじかみ、BMSをやるには不向きな季節ではありますが、
各作者さんからの暖かいクリスマスプレゼント、ありがたく頂戴させてもらうことにしましょう。
(※ 多分大丈夫だとは思いますが、もし掲載し忘れた作品があったらごめんなさい)
- [anthem trance] 夢の跡 -remember regret- / celas
celasサンタからのプレゼントは、PCゲーム「Kanon」挿入歌 “夢の跡” のトランスリミックスです。
“夢の跡” はあの “Last regrets” のオルゴールアレンジなので、実質 “Last regrets” リミとも言えます。
古参の方ならご存じでしょうが、昔のBMS界はギャルゲーアレンジが盛況で(今日の東方BMSみたい)、
“Last regrets” などの超人気曲は、原作を知らない人でも曲は知ってる…なんてことがザラでした。
…という昔話はさておき、懐かしい曲が聖夜に甦った!とオールドファンなら感涙モノの出来映えです。
“夢の跡” というタイトルのとおり、どこかドリーミーなパッドとシンセから曲は始まりますが、
まもなく推進力のあるキックとベースが加わり、夢を現実として乗り越えていくような力強さが溢れます。
そこに満を持して流れるのが “Last regrets” の名旋律。いつ聴いても心にぐっと響くメロディです。
ラストではBMS向きの細かいパッセージも交錯し、勢いを保ったままフェードアウトで幕を閉じます。
近年は「Kanon」アレンジBMSは全く見かけませんが、下火なだけでやっぱり良いものは良いですね。
「Kanon」世代の方もそうでない方も、本作を入手できた方は至高の美メロを存分にご堪能ください。
DL : CREATION RECORDS
http://oblivion.dip.jp/creation/index.htm (現在は公開停止)
- [MERRY X'MAS] Full Color / mommy
[MERRY X'MAS] というジャンルの通り、mommyサンタからのプレゼントBMSが本作です。
クリスマスソング・ウィンターソングというわけではありませんが、冬に聴きたい切ないナンバーです。
mommyさんらしいふわふわピコピコした伴奏に浮遊感を誘わたかと思うと、
キレのあるリズムとホロリと来る旋律が加わり、それらが一体となって耳を楽しませてくれます。
中盤からは曲の進行に応じ、バックのダイナミクスの抑揚・左右の大きなパン振り・メロの調的な変化など、
細かく丁寧な仕事が重ねられつつ、静かにしっとりと曲は締めくくられてゆきます。
音楽面もさることながら、この作品はモチーフがとても素晴らしいです。
曲名ではフルカラーと謳いつつも、実際の映像はセピアカラーに色褪せた思い出の1ページというのが
誰しもが心の奥底に持ってる、普遍的な懐かしさを思い起こさせてくれるようで素敵な演出だと思います。
ともすればクサくて直視できなくなりそうな題材ではありますが、決して過度な主張はせず、
聴き手にそっと匂わせてくれる程度というバランス感覚が、まさにベテランの技というところでしょう。
巷は年末につき、どこの土木業者も既に仕事納めをしております。
涙腺が決壊しても補修がききません。泣きメロ・良メロの聴きすぎにはくれぐれもご注意ください。
DL : 都市吟遊詩人グルーヴ
http://mommy16807.seesaa.net/ (現在は公開停止)
- [CROSSOVER-CONCERTO] Katharsis / VILA
- [RAVE] Party 4U / cranky
- [ADVENT CAROL] Adventkranz / VILA
(上画像は “Adventkranz” です)
クリスマスBMSが大豊作だった2010年でしたが、
その中でも真打ち登場とでもいうべきものが、crankyさんのBMS3作同時限定公開でしょう。
「cranky本格復活」の噂は前々からBMS界の隅々まで知れ渡ってはいましたが、
まさかこのクリスマスに、限定公開という形で復活の狼煙を上げるとは、いったい誰が想像したでしょうか。
いまやcrankyさんは世に広く認められ、私たちには手の届かないような大作家になったにもかかわらず、
一銭の得にもならないBMS界のため、こんなビッグなサプライズを用意してくれるなんて
本当にBMSが好きであり、また生粋のエンターテイナーなのだなぁと心から嬉しくなりますね。
1曲目 “Katharsis” はクラシックとダンスミュージックが大恋愛の末に結婚を果たした作品。
オーケストラの高級感もさることながら、聴き所は何と言ってもメインのピアノで、
繊細ながら内なる情熱を讃えたそのフレーズは、まるでプロのピアニストが奏でているような演奏感です。
ピアノコンツェルトというジャンルの特色もあって、ゲーム性は極めて秀逸と言うほかなく、
途中でさりげなく5拍子が交えられたり、後半でBPMが細かく動いたりと、様々な要素で楽しませてくれます。
なお、本作は12/25に修正差分が公開されています。イヴにダウンロードした方はお見逃しなきよう。
2曲目 “Party 4U” はcrankyさんを代表する楽曲の一つです。
バージョン違いのBMSが過去に幾つか出ていますし、ファンなら知ってて当然の必修科目でありますが、
このセルフカバーによって音質面などが飛躍的にリファインされ、名実ともに代表作にふさわしいクオリティに。
終始アガりっぱなしなレイヴサウンドや、特徴的な ヨォォォォォォォォォォ!!!の声ネタなどは、
10年以上も昔に作られたものながら、今もなお私たちの魂を揺さぶってなりません。
3曲目 “Adventkranz” は3作中唯一のクリスマスソングです。
ただし日本式のチャラチャラしたクリスマスとはひと味もふた味も違います。
まるで天使が舞い降りたようなボーカル、アンティーク感のあるBGAなど、とにかく全てが本格的で、
キリスト生誕を厳粛に祝う、本場ヨーロッパの格調高いクリスマス・キャロルをイメージさせてくれます。
こんな荘厳な光景を見せられては、「クリスマス滅べ」などと主張する人たちも沈黙するしかないですね。
礼拝堂のホルンの演奏をバックに、神々しい賛美歌を聖夜に高らかに響かせてください。
今回リリースされた3作品は、どれも譜面が物凄く充実していていて、
5鍵・7鍵・10鍵・14鍵の低難度から高難度まで、あらゆる難易度を幅広く揃えてあります。
初心者も上級者も、SP派もDP派も、各人のプレイスタイルに合わせて遊べるよう
最大限の配慮をしてある点が、黎明期からBMS界を支えてきた第一人者としてのこだわりなのでしょう。
BMS界のレジェンドcrankyさん、彼の伝説はいまも現在進行形で続いているのです。
DL : Rave-SLave
http://www.rave-slave.com/ (~2010/12/31まで限定公開)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上、2010年のクリスマス限定BMS紹介でしたが、
冒頭でも述べたとおり、今年はクリスマス期に他にもBMSのリリースが大量集中しました。
全体的にハイレベルな作品が多く、並のイベント以上の良作もたくさんあります。
pupuly BMR BIDC などをチェックし、入手し忘れのないようご注意ください。
それからもう一点、今年のクリスマスにはwebアルバムの公開ラッシュが訪れました。
本来、当ブログではwebアルバムやmp3などの紹介は原則行っていないのですが、
せっかく同時期に大量に発表されたので、ここで簡単に触れてみたいと思います。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
- 大童貞戦争 / DTM label
1. 大童貞戦争イントロ / Riutaso
2. 童貞の抱く夢はココアビスケットでバニラクリームを挟んだ感じの味 / mnmtpnk
3. 大童貞戦争 / mnmtpnk
4. 処女信仰チューン pt.2 / Riutaso
5. 恋人達にC-4を捧ぐ日 / mnmtpnk
6. 平日宣言 / Riutaso
Riutasoさんとmnmtpnkさんによる、DTM label(童貞音楽レーベル)のセカンドwebアルバムです。
アルバムタイトルや各曲名が強烈な上、サンタがツリーで串刺しになる超インパクトのジャケットまで付き、
クリスマスへの激しい憎悪とネタアルバム臭が漂ってきますが、中身は至って真面目なアルバムです。
聖夜にいちゃつくカップルに天誅を与えたい人は、ぜひ本作を聴いて大童貞戦争に身を投じてください。
DL : DTM label
http://nanmin.s4.xrea.com/dtml_index.html
- つきをおとすそのつめ / 樟(Gothlia)
1. 砂の城 / 樟
2. Day 6. / 樟
3. Modesty Blaise / Gothlia
4. Outside Girl / Gothlia
5. Techno Break / Gothlia
6. Artline / 樟
7. Umbrella / 樟
8. つきをおとすそのつめ / 樟
9. Safe in a Crazy World / Gothlia
10. Aimai Tokyo Yakiimo / Gothlia
樟さん(Gothliaさん)によるwebアルバムです。
“Outside Girl” “Techno Break” など、近年BMS化された楽曲のロングバージョンと、
表題曲である “つきをおとすそのつめ” など、初出のオリジナル作品とで構成されています。
BMSでの樟さんは難解でインテリな作風ですが、尺が伸びたmp3版だと非常に聴きやすくなった印象で、
退廃的な樟さんワールドへの入門用としてもオススメのアルバムです。
DL : DOT DOLL
http://tokyo.cool.ne.jp/rysu78/ (「つきをおとすそのつめ」より、DLは右クリックかURL直打ちで)
- Stories EP / 今朝に戻り隊
1. years / Tsukasa Ayatusji
2. tender / Tsukasa Ayatusji
3. and man got means (catch me if you can) / Tsukasa Ayatusji
4. jellyfish / Tsukasa Ayatusji
5. afterdark (afterimage) / Tsukasa Ayatusji
昨年の"BOF2009"で人気を博した [今朝に戻り隊] の方々によるwebアルバムです。
「アマガミ」を徹底リスペクトしたサイトデザインなどから、そのアマガミ愛の果てしない深さが伝わってきます。
収録曲はいずれも本当に優しくて、作業用・BGMとして延々流す用などにはこれ以上ない楽曲揃いです。
こんな枯れ果てた冬の季節に、瑞々しい潤いをたっぷり与えてくれるのは本作を置いて他にないでしょう。
DL : StorieS EP
http://amgm.tv/
- OURS / BMS creators
1. ZERO FIRE / xenothium
2. Lotus Bloom / maozon
3. Apologize / void
4. Lobotomy / BACO
5. THE GAMMA / LUZE
6. Digital Horizon / scytheleg
7. asanagi / doku
8. Eternity / Ym1024
9. kalliope (Dream of Flight Remix) / IDEAL
10. HolyLight / Est
BMS界の誇る精鋭トランスクリエイター陣によるwebアルバムです。
何と言っても制作陣の顔ぶれが凄い。voidさんやdokuさんなどBOF2010でもトランスをヒットさせた人気作家や
ルゼさんや鎌足さんなど普段トランスと縁が少ない有力作家まで、素晴らしい人材が一堂に勢揃い。
楽曲もハードな曲やボーカルトランスまで、一口にトランスといっても様々なものがあると思い知らされます。
BMSというフォーマットは(事実上)曲尺制限があるため、なかなかトランスの真髄は表現しづらいのですが、
そういった束縛のないmp3としてなら真価を発揮。彼らの魂のトランスが聴けることでしょう。
これが無料公開とは正直ドッキリかと疑ってしまうレベルです。これはもうマストダウンロードですね。
DL : OURS
http://ours.nekokan.dyndns.info/
ということで、指が凍えてBMSがプレイしにくい季節に配慮してか、
今年はwebアルバムというクリスマスプレゼントが本当にたくさんありました。
"BOF2010"コンピレーションWebアルバム「Groundbreaking」も鋭意制作中とのことですし、
この冬休み・お正月休みは聴く音楽に困ることは全くなさそうですね。
まだまだ寒い日々が続きますが、今冬もどうぞ皆さん楽しいウィンターBMSライフをお過ごしください。
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コメント
OURSを取り上げていただいてありがとうございました!
こういう人を巻き込む企画モノは大変ですが、
完成が見えてくるとワクワクドキドキで楽しかったので、
また機会があれば何かやってみてもいいかなーと思います。
では、今年もほどほどにがんばりましょー。
投稿: Est | 2011/01/03 09:13
Estさん新年おめでとうございます!
OURSたっぷり楽しませていただきました。執筆中のお供に今も愛用してます。
BMS作者さんたちのトランスをフルレングスで聴くことは少ないので、色々と発見があって貴重な経験でした。
Groundbreakingもそうですけど、こういうコンピ系は華があって素敵ですよねー。
1回きりの企画と言わず、機会があれば2度3度と続けてもらえれば私もホクホクで大変嬉しいです。
2010年のEstさんは自作品以外でも、OURSとかP2DUELとかで大活躍の一年でしたね。
今年も更なる飛躍を楽しみにしています。2011年も良い年にできるようお互い頑張りましょう!
投稿: s_miho | 2011/01/04 22:48