“Oz'Beats ~温故知新~” 回顧
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80年代クラブミュージック限定BMSイベント"Oz'Beats"が(昨年12月に)終了しました。
既に最終結果・総評とも公式サイトにて発表されていますが、
遅ればせながら当ブログでもイベントの模様を振り返ってみたいと思います。
◆ 結果発表
- スコア部門
- アベレージ部門
全順位はこちら。
※ 公式集計ではアベレージの小数第3位を四捨五入していますが、こちらでは必要に応じて第4位を四捨五入しました。
そのため、公式集計とは一部順位が異なるものがあります(具体的には、公式で同点とされたものに順位付けしてあります)。
※ 失格作品のスコア・アベレージも算出し、表中に示してあります(ただし順位にはカウントしていません)。
※ 無効票を反映させたため、会場リスト記載のインプレ数と異なる作品があります。
ということで、スコア・アベレージの両部門を制したのは
カラフル・サウンズ・ポートさんの “Süßer Freitag” でした。
「80年代らしいダサイ曲」というテーマながら、今の世代にはある種の新鮮味すら感じられるような傑作で、
他作品に50pts近くの大差を付け、次元の違う強さで優勝の栄冠を掴み取りました。
2位以下は接戦となりましたが、目立ったところを挙げていきますと
まずスコア準優勝・アベレージ3位にはTimaさんの “Wanna hold hands?” がランクイン。
Timaさんお家芸のキャッチーなハウスで、BOF場外乱闘編に続く復帰2戦目を好成績で飾りました。
それからスコア3位・アベレージ準優勝の、jill hiさんの “Rachel” も素晴らしい作品でした。
オシャレで渋い雰囲気は、「オジサン」という語の良い側面を映し出してくれた印象です。
4位以下では、MIX-MAXさんの “MIX-MAX Is Dead” や、haleitさんの “Sinking Time” が
総得点・平均点の両部門において支持を集め、上位入賞を果たしています。
今回の入賞者を見ると、制作歴の長いベテランや年長組のほうが強い傾向が見られました。
「80年代」というテーマの克服には、やはり音楽知識や経験の蓄積がないと難しかったようです。
実際、若干10代にして果敢に挑んでくれたETIA.さんやRuby.Gさんは上位進出できませんでしたが
彼らの減点理由は「80年代らしくない」というのが大半で、クオリティ不足が決定的な敗因ではありません。
そんなわけで、「80年代」という縛りを意識しなければ、今大会には下位勢にも良作はたくさんあります。
今からダウンロードする人は、上位だけでなく下位にも目を配ったほうが絶対お得だと思いますよ。
さて、優勝したカラフル・サウンズ・ポートさんはこれがイベント初優勝でした。
(前作 “風仁雷仁” は"BOF2010"をアベレージ優勝しましたが、集計対象外の参考記録です)
2010年1月のデビューから、わずか12ヶ月目でイベント制覇を成し遂げたCSPさんは、
まさに順風満帆、とんとん拍子でトップクリエイターへの階段を上り詰めたことになります。
これまでの作品を見るに、恐らくは音楽・芸術系をしっかり学んだ方なのだろうとは思いますが、
それにしても実力の違いは際立っていて、ルーキーながら早くも威厳・貫禄すら感じられるようです。
今後はBMS界の様々な記録を塗り替えてくれるような、超一流の素晴らしい活躍が期待されます。
優勝、本当におめでとうございました。
◆ スコア・順位の推移
期間中の各作品の獲得スコアや順位の変動・推移です。
- スコア推移
ぎゃー、密集しすぎていて何が何だかさっぱりわかりません。
強いて言うなら、“Süßer Freitag” が一枚上の得点を保ち続けていた点や、
“Wanna hold hands?” が序盤は “Süßer Freitag” に食らいついていた点が読み取れるでしょうか。
イベント中はインプレの得点が非表示だったので、どういう形勢なのかは誰もわかりませんでしたが、
実は史上稀に見る大混戦が繰り広げていたのでした。
- 順位推移
一部上位陣を除き、順位変動はむちゃくちゃ激しいです。
上に行ったり下に行ったり、てんやわんやのシーソーゲームが展開されていました。
そんな中でも、優雅に好順位をキープし続けた “Süßer Freitag” “Wanna hold hands?” の2作品は
安定感があって相当強かったのだと思い知らされます。
◆ インプレ非表示の影響
上で少し触れたように、今大会では評価期間中のインプレの得点が非表示となっていました。
近年でも"EXTREMEBEAT"や"BOF2010"において、終了間際だけ非表示、というのはありましたが、
最初から最後まで点数を公表しないというのは、とても珍しくて意欲的な試みでした。
この制度が導入された目的は明快で、
・ インプレする際、他のインプレイヤーが付けた得点に影響されるのを防ぐ
ということに尽きると思います。
では実際この目的は達成されたのでしょうか。
多くの人にとって見慣れているはずの、DEE風リストで得点分布状況を振り返ってみましょう。
こうして見てみると、かなり点数がバラけている気がしませんか?私はします。
ほとんどの作品に、5pts~1,2ptsまで幅広い票が入っていることから、
投票者は他者の採点にあまり影響されず、正直な評価が出来たのでは、という推論が導き出せます。
そして何より注目に値するのは、全作品に5ptsが投票された、ということでしょう。
通常の点数公開式のイベントでは、「自分だけが満点をつける」なんてなかなか気が引けるものですが、
今回は非公表とあって、余計な遠慮をすることなく、素直な点が投じられたと言えるでしょう。
出場者全員が『俺の作品を気に入ってくれた人が、少なくとも1人はいてくれた』と
胸を張って自信に思えるなんて、実に素晴らしいことではありませんか。
このように全作品が5ptsを獲得した点が、今回の非公表制で最大の収穫だったと私は思います。
では逆に、デメリットはあったかというと、
・ 点数が見えないせいで、期間中のイベントに関する話題が皆無
・ 全作品DLするのが面倒な人にとっては、得点を参考にできないので不親切極まりない
・ ネームバリューある作家のBMSばかりDLされる危険性がある
・ 非公表制を怖がってインプレをしないインプレイヤーもいる
などが考えられるでしょうか。実際どうだったかはよく知りませんが。
これらのマイナス面も考慮すると、非公表制が最善の制度と断言してしまうのは早計でしょう。
『点数を公開するか否か』という命題は、まだまだ議論や研究の余地があるかもしれません。
◆ インプレ状況
今大会のインプレ総数は667でした。1作品あたり33.4インプレ。
「テーマがテーマなだけに盛り上がるか心配」という声もありましたが、インプレ数は上々で、
2010年に国内で開催された他イベントと比較しても、水準以上の盛況を見せました。
1作品あたりのインプレ数でいうと9イベント中4位。あの"5vs7"とほぼ同程度の賑わいです。
作品数も全20曲とお手頃サイズで、最近の巨大イベントに比べてプレイしやすかったのかもしれません。
そんなわけで全曲インプレした人も非常に多いです。全インプレ達成者は以下の25人でした。
acid age Aloin cybermiso daisan FALL haleit Kanade kei_iwata kisama loca MIRV Moai No name Ruby.G s_miho scytheleg Symphonian Tima TrioStaR YATA Ym1024 アムドラあかり びっとあっぱー みくすまくす 瓜
※ 失格作品および自作品はインプレしなくても可とします。
※ No nameさんは入れるべきか迷いましたが、状況的に同一人物と思われるので載せちゃいました。
※ 1作品忘れの19インプレという惜しいインプレイヤーが2名ほどいました。
本当にお疲れ様でした""ハ(^▽^*) パチパチ♪
「全インプレ達成者の票のみによるランキング」は以下のとおりです。
詳細データはこちら。
(詳細データ内の赤字は独自に求めた推定点です、各インプレイヤーの平均点の算出からは除外してあります)
全体的には、公式の順位とだいたい似たような成績ですが、
“Basilico” や “Acid Lady” は公式順位以上の好評価を得ています。玄人好みの要チェック作品ですね。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ということで無事終了した"Oz'Beats"でしたが、今大会の船出には多くの困難が伴いました。
「80年代限定なんて作れる人いるのか」「5鍵☆5以下がメイン譜面というのは難しい」という指摘に始まり、
主催のwaku2tanさんがBMS界ではほとんど知られていない人という「主催のネームバリュー」、
イベント開始時には「先行登録問題」という、対処を間違えれば炎上しかねない火種を背負い、
その後も「一括インプレフォームで偽名の中身ばらし」「誤って1日早くインプレの点数公開」などのミスも発覚。
乗り越えるべき課題やトラブルがいくつも重なり、ずっと気苦労が絶えなかったことと思います。
それでもこうして成功裏に終わったのは主催さんの努力の賜物でしょう。心から敬意を表します。
80年代クラブミュージックというテーマは、決して馴染みの深いものではありませんでしたが、
改めて振り返ってみると、とても奥深くて刺激のあるものだと気づかされました。
音楽の世界は日進月歩。どんどん新しい音楽が誕生し、古い音楽が忘れ去られていく世界ですが、
たまにはこうして過去の足跡を振り返ってみると、新たな再発見があって実りが大きいですね。
第2回"Oz'Beats"は、そのニッチさゆえにまず行われないとは思いますが、
同系の「年代限定イベント」はいずれ開催されるかもしれません。その際はまた期待しましょう。
主催・運営・参加者・投票者・その他関係者の皆さん、お疲れ様でした。
Oz'Beats ~温故知新~
公式ページ
http://www5.hp-ez.com/hp/ozbeats/index
会場
http://stec.x0.com/sf_event/list.cgi?8
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● gdbg2010
このブログの読者層には、もはや宣伝なんて一切不要かと思いますが、
Groundbreaking -BOF2010 COMPILATION ALBUMがついに公開されましたね!
世界最高のBMSイベント"BOF2010"から厳選された全39曲ッ!!
ロング・リミックス・ボーナストラックありでBMSプレイ済みのあなたも満足ッ!!!
ヤフオクとかに転売されてもおかしくない驚異的クオリティッ!!!!
そして驚くなかれ、価格はもちろん無料ッ!!!!!
…などと、Webアルバムの域を超えた素晴らしい仕上がりです。
まだダウンロードしてないという人は即刻落としてくるよう厳命します。
個人的には、“緋色の仮面”が収録されていることにたいへん歓喜しました。
先行視聴デモを聴いた際には、“グレートエスケープ”が採用されて“緋色”は落選とばかり思っていたので、
まさかの収録に我を忘れて大喜びしました。どうもありがとうございます。
eollさんは計4曲収録。制作スタッフにもeollファンがいるのでしょう。私とは気が合いそうで嬉しいですv
各曲の感想とかは、余力が出てきたら目立たない場所でこっそり書いていければと思っています。未定。
● 本日のTranscendPang
進展なし。5-B → 6-C を狙ってるのですが、5-Bのノルマクリアと残機アップの両立が困難。
調子の良いときがあっても、ネオボスが突然ビームを打ってきて機数とやる気が一瞬で喪失します。
5-Bは得意面なのでそのうち達成できるとは考えてますが、私ももう伸びしろがなくなってきた感じです。
一区切りとしてここまでやった感想をまとめてみたので、もしよければ参考にしてください。
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この記事へのコメントは終了しました。
コメント
よく読みました!
毎度面白い文を読めてありがとうございます!
(翻訳機を使っています)
投稿: Ruby.G | 2011/01/13 23:56
回顧記事お疲れ様でした。
余談ですが、近日中に行われるPMSのイベントの方は記事にする予定はあったりするのでしょうか。その辺りも気になるところです。
BOF2010アルバムは色々とネットサーフィンしていく内に発見と言う流れでした。その過程の中でeth剣の壁紙を見つけたのは非常に大きかったです。
収録されている楽曲の中には自分が未プレイの曲もいくつか入っていたので、機会があればそちらもプレイしようかと思っていたりします。
PS:ファイバー婆のポイントですが、コメント扱いにはしたんですが、予測データ通りで正解です。
投稿: アムドラあかり | 2011/01/14 20:11
こんばんは。
毎度毎度よくもこんなにネタが思いつくなと感服しております。
今回のイベントの点数非表示ですが、登録曲数が10曲前後だろう&題材だけに評価が割れるだろう等の確信を以って実行に移させていただきました。
ところが蓋を開けてみれば倍の登録があり、曲数が多すぎてインプレイヤーさんが自分の入れた点数を忘れてしまうんじゃないかと内心ヒヤヒヤしてました(笑)。
「第2回」はもし私がこの界隈に存在していたならば今度は90年代縛りで2020年にでも開催するかもしれませんね。
投稿: waku2tan | 2011/01/15 00:47
>Ruby.Gさん
わざわざ海外から読んでいただいてありがとうございます。
翻訳機の使えない画像などで、理解が難しい部分もあるかもしれませんが、
なるべく直感的に理解しやすい記事を作るよう努力します。
韓国の方々にも優しいボーダレスなブログを目指しますね。
>アムドラあかりさん
"SPRING 9KEYS ROAD 2011"はですね、イベント理念にも共感できるし、
Y.Wさんの初主催イベントだしで、私も一肌脱ぎたいところではあるのですけど…。
前にも少しだけ書いたのですが、2月末日の転勤で実家を離れることが決まってまして、
そうなると家事やら何やらの負担が増えて、ブログの情報量を保つのが難しくなるので、
まだ確定ではないですけど、そこで一区切りにしようかと考えています…。
ですのでご期待にはちょっと添えないかもしれません、ごめんなさい。
>waku2tanさん
どうも主催お疲れ様でしたー!イベント楽しかったですー。
登録の少ない過疎イベントになる覚悟は私も決めていたのですが(失礼)、
予想に反して(更に失礼)多くの作品に恵まれ、かなりのステキイベントになったと思います。
制限の緩い90年代縛りだったら登録が50くらい行ってたかもしれないですね。言い過ぎか。
2020年のBMS界は、冗談抜きでオジサンだらけの界隈になってるはずですので(笑
その時は堂々と大手を振ってOz'Beats2が開催できますね。楽しみにしています!
皆さんコメントありがとうございました!
デフォになりつつありますが返信が遅くなってすみません…。
投稿: s_miho | 2011/01/21 01:21